「 月別アーカイブ:2020年07月 」 一覧
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かさなる白いモラトリアムサマー 23話(最終話)
2020/07/05 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな 湖畔にある駐車場に車を停めると、二人は白色と緑色で彩られた無人駅に向かった。 無人駅の周辺には、青々と茂った稲穂たちが風に揺らめいていた。その先に見える木崎湖は、北アルプスの雪解け水を …
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かさなる白いモラトリアムサマー 22話(2/2)
2020/07/04 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな 程なくして、あふれんばかりのビールを湛えたジョッキが四つ、テーブルに並んだ。銘々、ジョッキを手にすると、ロマンチックな夜に乾杯してから口に運んだ。火照った唇に冷たいジョッキが触れる。金色 …
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かさなる白いモラトリアムサマー 22話(1/2)
2020/07/04 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな 高橋が太鼓判を押すお店に到着すると、アウトドア関係の会社がプロデュースしたビアガーデンうんぬんシックな看板に、小さな文字で簡素に書かれてあった。オシャレな所だから覚悟して入店あそばせ、 …
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かさなる白いモラトリアムサマー 21話(3/3)
2020/07/04 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな アパートメントに帰宅すると、マミはわき目もふらずワンピースに袖を通した。するとブランニューな生地の肌触りが、覚めつつあった酔いの代わりにご機嫌にさせてくれた。更にご機嫌になるにはどうす …
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かさなる白いモラトリアムサマー 21話(2/3)
2020/07/04 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな 体に感じるか感じないかという速度で、レストランは音も発せず360度回転していた。 言わずもがなマミは、ご満悦であった。サンセットに焼かれていく街並と、夜のとばりに包まれていく街並を心ゆ …
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かさなる白いモラトリアムサマー 21話(1/3)
2020/07/04 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな マミは姉に連れられ、都内を観光していた。 山行フリークの彼女にとって、大都会の景色を写真に撮るのは、新鮮であった。 「まるでロケーションハンティングにでも付き合っているみたいね」とエマ …
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かさなる白いモラトリアムサマー 20話(3/3)
2020/07/03 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな 「ワカバ、ワカバ、ねえ、待ってよ」そう呼び止めたエミカの声は、打って変わってはずんでいた。それから、指を差して「ほらほら、あそこ!」 そして里実ワカバは、エミカが指差す方角にやおら視線を …
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かさなる白いモラトリアムサマー 20話(2/3)
2020/07/02 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな 行きつけのセレクトショップを後にしたエマ先輩は、ストローハットをかぶると、足の具合を伺った(依然、痛みはたけなわである)。 片や、マミは真新しいワンピースが入った紙袋を手にはしゃいでいた …
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かさなる白いモラトリアムサマー 20話(1/3)
2020/07/01 -かさなる 白いモラトリアムサマー
木崎湖作:武田まな 里実ワカバと友人のエミカは、カフェでのんびりと過ごしたのち、男どもとの合流ポイントに向け足を運んだ。 この数日間、一人で過ごしていた里実ワカバにとって、カフェでのお喋りはとても良い気分 …